デッサンの練習は何からしたら良い?初心者向けのモチーフや道具などについて解説
「イラストを描くのが好きだけど、もっと上手くなるにはどうしたら良い?」
「デッサンを練習すれば、絵が上手くなるって本当?」
このような疑問を持つ方もいるのではないでしょうか?
絵を描くのが好きなら、上達のコツを知りたいと思うものでしょう。
デッサンはシンプルですが、絵の基礎が身に付く技術です。そこでこの記事では、デッサンの練習方法や必要なものなどを解説しました。もっと上手に絵を描きたい方、思い通りの絵を描きたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
そもそもデッサンとは?
そもそもデッサンとは、何でしょうか?デッサンとは、元々フランス語で「素描(そびょう)」「下絵」を意味していました。絵画や彫刻などの芸術作品の基礎となる技術で、基本的にモノトーンでモチーフを描写することを指します。
デッサンの目的は、対象物の形や構造、質感や陰影などを正確に捉えて表現することです。デジタルイラスト・デジタル絵画がこれだけ普及した現在、あえてデッサンを練習する人は少ないかもしれません。しかしデッサンの練習により、観察力や表現力が高まったり、創造性や感性が豊かになるメリットがあります。基礎画力を身に付け、イラストなどに説得力を持たせるために有効な練習法といえるのです。
ちなみに、デッサンの歴史は古代から始まり、古代エジプトから中世ヨーロッパ、ルネサンス期などでも巨匠たちが、デッサンを研究してきました。現代では、デジタル技術やコンピュータグラフィックスなどにもデッサンが用いられています。デッサンは、芸術の歴史と共に発展してきた技術であり、今もなお多くの人々に親しまれている技術といえます。
デッサンに必要な道具
デッサンと聞くと「紙と鉛筆があれば良い」と思われる方もいるかもしれません。基本的に必要なものは鉛筆・消しゴム・画用紙の3点です。しかし実は、それぞれの道具にも細かい向き不向きがあります。ここからはデッサンに必要な道具・選び方を解説します。
鉛筆
デッサンには、デッサン用の鉛筆を用います。三菱鉛筆やステッドラーなどのメーカーからデッサン用鉛筆が製造されているため、いくつかのメーカーのものを試してみると良いかもしれません。
デッサン用鉛筆は、芯の硬さのバリエーションが多く、10Hから10Bまで幅広くラインナップされています。「濃く表現したい」「細やかなタッチを加えたい」などで、芯の硬さをチョイスしましょう。また、芯の側面も使って絵を描くのもデッサンならではの特徴です。
初心者であれば、3Hから3Bくらいまで揃えておくことをおすすめします。
消しゴム
消しゴムもなんでも良いわけではありません。デッサンでは基本的に「練り消しゴム」を使います。
なぜなら練り消しゴムは鉛筆の粉を優しく吸着し、絵(画用紙)を傷つけずに消せるからです。また、細かい線を綺麗に消すには「プラスチック消しゴム」も役立ちます。そのため、いくつか揃えておくと良いでしょう。
画用紙
デッサンに使う紙は画用紙が最適です。しかし画用紙といってもいくつか種類があるため、どれにすれば良いか迷うかもしれません。
画用紙にこだわるのであれば「紙の材質・色・厚さ・表面の加工」を基準にすると良いでしょう。特に負荷の大きい素描の場合では、こういった視点で選ぶことをおすすめします。
特にこだわりなければ好みで選びましょう。サンフラワー紙は使いやすいと評判です。デッサン初心者であれば候補に入れてみてはいかがでしょうか?
カッター
デッサン用鉛筆を削る際に、鉛筆削りを使うのは止めましょう。
基本的にはカッターを使います。安価なもので構いません。ただし、鉛筆削り専用にしてください。なぜならカッターで鉛筆を削ると切れ味が悪くなるため、紙が切れにくくなってしまうからです。
実際に削るときは、一般的に書字で使う時よりも芯を長く出すように削ってみましょう。
その他
そのほかにあると便利なものを紹介します。以下のものは、主に画用紙を立てた状態で描きたい人向けの道具です。
画板 | 画用紙の下敷きにするもの。卓上でデッサンする時は必須ではない。 |
イーゼル | 画板を斜めに立てかけるもの。デッサンの時だけでなく、ディスプレイ用にも使える。屋内用・屋外用がある。
大きさはさまざまなので、自分がどのような姿勢で描くかによって決めると良い。 |
クリップ | 画板を使う時に画用紙を固定するために使う。 |
デッサンの練習方法
ここからはデッサンの練習方法を、順に従って説明します。
①モチーフの観察
実際に描き始める前に、まずはモチーフ(デッサンの対象となる素材)を観察します。
「見ながら描けば良いのでは?」と思うかもしれませんが、モチーフの観察はデッサンにおいて非常に重要な工程です。観察する際は、以下の点に注意してみましょう。
- 光源の位置とハイライト
- 影がどのように差しているか
- モチーフを触った時の材質
また、モチーフをどのように置くかも重要です。モチーフの下に白い紙を敷いたり、モチーフの後方に黒い板を置くと、陰影がはっきりして観察しやすくなります。
②大まかに描く
モチーフを観察して全体を把握したら、鉛筆で描いていきましょう。
この時点では、細かい箇所は気にせずに描きます。大きく手を動かして全体像を描くように意識してみましょう。
③繰り返し重ねて描く
大まかに全体像が描けたら、鉛筆で重ねて描いていきます。繰り返し鉛筆を動かして、色を載せていくイメージです。
単純な濃淡をつけるだけでなく、グラデーションになるように色を載せると、立体的になりクオリティもアップします。
④細かいところを描く
全体像と濃淡ができたら、次に細部を描いていきます。細かな凸凹、質感などを表現していきましょう。また、全体を見ながら調整していき、仕上げをしていきます。
デッサンの練習に関するよくある疑問
ここからはデッサンの練習にあたってよくある疑問に答えていきます。
デッサンの練習の初心者は何からしたら良い?
デッサンの画材は鉛筆以外にも木炭や絵の具もあります。絵の具のように色があると見栄えが良くなると思うかもしれません。しかし、絵の具などは難易度が高いため、初心者は前述した鉛筆から始めましょう。
また、初心者がデッサンするモチーフはシンプルなものがベストです。なかでも、丸や立方体などのシンプルな形の物をおすすめします。家にある身近な物なら、ティッシュ箱やボールなども良いでしょう。シンプルなモチーフでも、よく観察すると今まで気付かなかった箇所が見えてくるはずです。
ちなみに、練習の頻度としては、できるだけ毎日すると良いでしょう。自分では分かりにくいものですが、毎日続けていけば1〜3ヶ月後にはかなり絵が変わることも少なくありません。
人体のデッサン練習をするならどんなポーズが良い?
人体はグッと難易度が上がりますが、真っ直ぐのポーズは比較的簡単です。そのため、人体のデッサンが初めてであれば、直立しているポーズなどが良いでしょう。
生き生きとしたポーズに挑戦するなら、S字ポーズやひねりポーズがおすすめです。身体の中心線(背骨)をS字にねじらせたり、胸部や骨盤のパーツをひねらせたりすると、躍動的に感じられます。
ただし、モデルを人に依頼するのは負担が大きく大変です。この場合は、ポーズ用の人形を使うと良いかもしれません。
デジタルで描くならデッサン練習は要らない?
デジタルイラストのようにタブレットやスタイラスペンで描く人が増えており、「デッサンの練習なんて要らないのでは?」と思う人もいるでしょう。
しかし、アナログでもデジタルでも絵を描くならデッサンの練習は絵に活かされます。デッサンの練習により絵を描く基本が身に付くため、デジタルイラストを描く人もぜひデッサンの練習を取り入れてみましょう。
写真を見てデッサン練習するのはだめ?
観察して描くのであれば、「写真を見て描いても変わらないのでは?」と思う人もいるかもしれません。しかし、基本的にデッサンは実物を見て描くものです。写真が全くダメというわけではありませんが、デッサンは立体的な物を紙という平面に再現する技法なので、そもそも平面の写真は向いていません。
また、写真も自分で撮影したものなら構いませんが、ネット上に掲載されているものであれば、著作権に影響する場合があります。写真で練習したいのであれば、デッサン向きの練習サイトがあるため、そちらを活用すると良いかもしれません。
まとめ|デッサン練習をして画力アップしよう
デッサンは立体的なものをよく観察して紙に再現する技法です。一見シンプルですが奥が深く、描いてみると難しいと感じるでしょう。しかし、絵の基礎が身に付くため、デッサンが上手くなればさまざまな模写や絵画に対応できるはずです。アナログ・デジタル問わず絵を上達させたい方は、ぜひデッサンを練習してみましょう。
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